地熱発電新設

www.sankei.com


 天候や昼夜に関係なく安定的に発電する純国産のクリーンエネルギーとして注目されている「地熱」。国も規制緩和などで利用を後押ししている。そんな中、秋田県湯沢市で今、「山葵沢(わさびざわ)地熱発電所」(4万2000キロワット)の建設工事が2019年5月の営業運転開始を目指し着々と進められている。Jパワー(電源開発)などが出資する湯沢地熱(同市)が事業を手掛けており、予定通りいけば、東京五輪パラリンピックの前年に、国内23年ぶりの1万キロワット超の大規模地熱発電所が稼働することになる。

 日本の地熱資源量は2300万キロワットで、米国(3900万キロワット)、インドネシア(2700万キロワット)に次ぐ世界第3位の地熱資源大国となっている。ただ、その豊富な資源ほどは利用が進んでおらず、地熱発電の設備容量(計約52万キロワット)は世界第10位に甘んじており、今後の利用拡大が期待されている。

 そんな中、Jパワーは現在、三菱マテリアル三菱ガス化学と共同で設立した湯沢地熱を通じて山葵沢地熱発電所の建設を進めている。建設場所は、岩手、宮城、山形3県の県境からほど近い秋田県湯沢市の山間部。総面積約16万平方メートルにわたり、蒸気を取り出す井戸(生産井)、熱水を地下に戻す井戸(還元井)の掘削や発電所本館、タービン・発電機据付、配管・蒸気処理装置などの工事等が行われている。Jパワーは宮城県大崎市の鬼首地熱発電所(出力1万5000キロワット)の運転・保守を、1975年から40年以上にわたり行ってきた。同発電所は2017年3月に運転を停止し、最新設備への更新を計画している。この長年の地熱発電の経験と知見が、今回の山葵沢地熱発電所の開発にも活かされている。

 山葵沢地熱発電所の出力4万2000キロワットは、地熱発電所として国内5番目の大きさ。出力1万キロワット超の地熱発電所は、96年11月に営業運転を始めた九州電力の滝上発電所(2万7500キロワット、大分県九重町)以来で、予定通りいけば実に23年ぶりの大規模地熱発電所が稼働する。

 地熱の“正体”や地熱発電の仕組みを説明してから、山葵沢地熱発電所の建設工事の進捗状況に触れることにしよう。

 日本は110もの活火山がある世界有数の“火山国家”。火山地域の地下数キロメートル~十数キロメートルには、地下深くから上昇してきたマグマが溜まっている場所があり、約1000度で周囲の岩石や地表から浸透してきた水を熱している。加熱された水は高温の蒸気や熱水となって、水を通しにくい岩盤の下などに溜まる。その蒸気や熱水が溜まっている場所を地熱貯留層(地下約1000~3000メートル)という。

 地表から地熱貯留層まで井戸を掘って、高温・高圧の蒸気や熱水を取り出してタービンを回し、発電するのが地熱発電だ。蒸気による発電には2つの方式がある。1つは、蒸気と熱水が混ざった地熱流体から気水分離器を使って蒸気を取り出し、その蒸気でタービンを回し発電するシングルフラッシュ方式。もう1つは、気水分離器で分離したまだ温度の高い熱水からさらに低圧の蒸気をつくり、2種類の蒸気でタービンを回して発電するダブルフラッシュ方式である。

【一部参照】

 

 

潜在的な資源量と、太陽光や風力と違い計画的な発電が可能な地熱発電は今後も協力に推進していく必要があると思う。太陽光発電と風力は、気ままな発電で、必ずバックアップ発電が必要になる。バックアップ電力の火力発電は急激な需要と発電の変動を調整するために、一定レベルで運転を続けている。なので、すべてを太陽光発電風力発電に頼ることは出来ない。

使い勝手の悪い自然エネルギーの中でも、安定電源となり得る地熱発電は純国産発電で、タービンなどの発電設備は国内企業が世界のシェアを確保している。温泉が枯れてはいけないので地元の反対が強くなかなか新設されることが無かったが、ついに新設されるようだ。

メリットの大きい地熱発電ではあるが、問題もある。常に新しい井戸を掘る必要があるうえ、必ずよい井戸を掘り当てられるわけでは無い。穴を掘る技術、適切な井戸の位置の調査技術など、課題は多い。

せめて水力に匹敵する量が発電できる時代が来ればよいなあ。